資料数
32資料(内閣4、内閣府1、金融庁4、総務省4、財務省1、厚生労働省1、農林水産省2、経済産業省10、環境省5)[当誌掲載順]
注目資料
★ 内閣 緊急提言 ~未来を切り拓く「*新しい資本主義」とその起動に向けて~-新しい資本主義実現会議-
★ 総務省 放送を巡る諸課題に関する検討会 衛星放送の未来像に関するワーキンググループ 報告書
★ 厚生労働省 建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会報告書
★ 経済産業省 燃料電池自動車等の規制の在り方検討会 最終報告書
★ 環境省 パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(令和3年10月22日 閣議決定)
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*編集部注:
・新しい資本主義
『新しい資本主義実現本部』 については、2021年11月10日の本欄で取り上げましたが、その後の動きが速く、実現本部の下に設置された「新しい資本主義実現会議」より11月8日に『緊急提言~未来を切り拓く「新しい資本主義」とその起動に向けて~』が示されました。
岸田政権の核となる政策でもあり、追記として取り上げます。
Ⅰ.新しい資本主義の起動に向けた考え方
Ⅱ.成長戦略
1.科学技術立国の推進
(1)科学技術立国の推進に向けた科学技術・イノベーションへの投資の強化
① 10 兆円規模の大学ファンド・大学改革
② デジタル、グリーン、人工知能、量子、バイオ、宇宙など先端科学技術の研究開発・実証
③ ライフサイエンス分野の強化
(2)デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
① デジタル庁による健康・医療・介護、教育等の分野におけるデータ利活用の推進
② DFFT(信頼性ある自由なデータ流通)の推進
③ 利用料の透明化によるキャッシュレス利用環境の整備
④ コンテンツの利用拡大
(3)クリーンエネルギー技術の開発・実装
① 再生可能エネルギーの導入拡大
② 蓄電池の国内生産、水素ステーション・充電設備の整備、電動車の普及促進による自動車の電動化の推進と事業再構築
③ 化学・鉄鋼等のエネルギー多消費型産業の燃料転換
④ 既存住宅・建築物を含めた省エネ性能の向上や木造建築物の促進による住宅・建築分野の脱炭素化
⑤ 核融合など将来に向けた原子力利用に係る新技術の研究開発の推進
⑥ クリーンエネルギー戦略の策定
2.我が国企業のダイナミズムの復活、イノベーションの担い手であるスタートアップの徹底支援
(1)要素技術の製品化・サービス化の促進
(2)付加価値の高い新製品・新サービスの創出の促進
(3)スタートアップを生み出し、規模を拡大する環境の整備
(4)新規株式公開(IPO)プロセス及びSPAC(特別買収目的会社)制度の検討
(5)大企業とのオープンイノベーションの支援
(6)公正な競争を進めるための競争政策の強化
(7)デジタル広告市場の透明化・公正化の推進
3.地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」の起動
(1)テレワーク・ドローン宅配・自動配送などデジタルの地方からの実装
(2)地域金融機関を含めた地域の中小企業のDX の面的・一体的な推進
(3)いわゆる6G(ビヨンド5G)の推進
(4)教育のICT 環境の整備
(5)デジタル田園都市国家構想実現会議とデジタル臨調の設置
(6)地方活性化に向けた基盤づくりへの積極的投資
① 農林水産業の成長産業化の推進・家族農業や中山間地農業などが持つ多面的機能の維持
② 防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策の推進・豊かな田園都市国家を支える交通・物流インフラの整備
③ PPP/PFI の推進
④ 2025 年大阪・関西万博の準備の円滑化
⑤ 観光立国復活に向けた観光業支援
4.経済安全保障
(1)我が国の自律性の確保、優位性ひいては不可欠性の獲得のための経済安全保障を推進するための法案の策定
(2)戦略技術・物資の特定、技術の育成、技術流出の防止等に向けた取組の推進
(3)デジタル社会の基盤となる先端半導体に関する国際共同開発支援と半導体工場の我が国への立地支援、国内拠点工場の刷新
(4)次世代データセンターの地方分散・最適配置の推進
Ⅲ.分配戦略 ~ 安心と成長を呼ぶ「人」への投資の強化
1.民間部門における中長期も含めた分配強化に向けた支援
(1)新しい資本主義を背景とした事業環境に応じた賃上げの機運醸成
(2)男女間の賃金格差の解消
(3)労働分配率向上に向けて賃上げを行う企業に対する税制支援の強化
(4)労働移動の円滑化と人的資本への投資の強化
(5)非正規雇用労働者等への分配強化
① 新たなフリーランス保護法制の立法
② 厳しい環境にある非正規雇用の方々の労働移動の円滑化
③ 正規雇用と非正規雇用の同一労働同一賃金の徹底及び最低賃金の経済状況に応じた引き上げ、働き方改革
(6)大企業と中小企業の共存共栄を目指した、取引適正化のための監督強化、産業界への働きかけ強化
(7)事業再構築・事業再生の環境整備
① 中小企業の事業継続・事業再構築・生産性向上の支援
② 採算性の回復が望める事業者に対する事業再構築の促進のための私的整理円滑化の立法
③ 中小企業の私的整理等のガイドラインの策定等
(8)新しい資本主義の時代における今後の税制の在り方についての政府税制調査会における検討
2.公的部門における分配機能の強化
(1)公的価格の在り方の抜本的見直し
① 看護、介護、保育などの現場で働いている方々の収入を増やしていくための公的価格の在り方
② 賃上げのための政府調達手法の検討
(2)子ども・子育て支援
① 子ども目線での行政の在り方の検討
② 保育の受け皿整備、幼保小連携の強化、学童保育制度の拡充や利用環境の整備など、子育て支援の促進
③ 大学卒業後の所得に応じて「出世払い」を行う仕組みに向けた奨学金の所得連動返還方式の見直しの検討、子育て世代の教育費の支援
④ 子育て世代の住居費の支援
(3)財政の単年度主義の弊害是正
この緊急提言は、「早速、実行すべきものは実行に移し、新しい資本主義を起動するため、当面、岸田内閣が最優先で取り組むべき施策を整理するものである。」としており、11月8日の発表以後、直ぐに実行されているものがあります。
「Ⅱの3の(5)デジタル田園都市国家構想実現会議とデジタル臨調の設置」を例に挙げると、
・デジタル田園都市国家構想実現会議⇒11月9日 内閣総理大臣による開催の決裁、11月11日 第1回会議の開催
・デジタル臨時行政調査会⇒11月9日 内閣総理大臣による開催の決裁、11月16日 第1回会議の開催
今後もこの緊急提言の施策については、要注目です。
[出典]新しい資本主義実現本部/新しい資本主義実現会議HP:新しい資本主義実現会議(第2回)『緊急提言 ~未来を切り拓く「新しい資本主義」とその起動に向けて~』