新型コロナ感染症により周年事業もこの1年大きな影響を受けてきました。『広報会議』の「周年イヤーの迎え方」に始めてコロナの影響が登場したのは2020年11月の敷島製パン(創業100周年)で、その内容はリアルイベントを中止したとの記述でした。今回は周年を迎えた企業がコロナとどう向き合ったかを取り上げます。
2020年10月から2021年9月号までに『広報会議』に掲載された周年企業12社のうち、2頁見開きの「周年イヤーの迎え方」に「コロナ」の文字がまったく登場しない4社に対し、影響に言及した企業は8社でした。
内訳(下表参照)を見ますと、式典などのイベントを中止したのは敷島製パンを含めて3社。
その一方コロナを逆手に取って、このタイミングでしかできない取り組みをした企業が5社ありました。その取り組みを順次取り上げます(写真は各社HPより)。
■明星食品のケース
主な取り組みとして(1)ソーシャル (2)マーケティング (3)インターナル (4)マネジニアル (5)ブランド の5つ領域でプロジェクトを展開。
コロナ感染拡大下、「絆」をテーマにした記念式典を中止。これに代わるものとして各部署の従業員が登場する70周年記念ムービーを展開することにしたが、他の施策の基本線が変わることはなかった。
また、「社員全員総マーケッター化」と題し、商品アイデアコンテストを実施するなど、自発性を高め、モチベーションを上げるための施策を行った。
コロナによる急な方向転換で、当初社内には戸惑いもあったようだが、社内の課題や意見をくみ取り、形にしていく中で、社内も情熱を持ってチャレンジする雰囲気になっていったとのこと。
■なだ万のケース
海外や若い世代にリーチする手段として同社初のYouTube公式アカウントとして開設した「なだ万チャンネル」を企画。
主な内容は、各店舗の料理長が家庭でもできる日本料理のレシピ、調理技術を紹介する動画だったが、これがコロナ禍で自宅時間が増える中でメディアからもより注目され大きな反響を呼んだという。
また、従来のターゲット層は50代から80代ながら10年、20年先を見据えて事業を続けていくうえで若年層へのアプローチが課題だった。
そこで、190周年にちなんで19歳限定の特別プランをスタート。
従来は社内でのお祝いが多かったが、今回は対外的な発信を多く行ったとのこと。
■寺田倉庫のケース
周年テーマを「Make space(空間開花)for・・・」と設定。
新型コロナの影響もあり、画面越しでどうコミュニケーションするのが良いか、プロジェクトメンバーで話し合った結果、動画という形になったとのこと。
動画は社外向け1本、社内向け(各事業部紹介)2本制作し、いずれも10月23日にオンラインで実施された創業記念イベント内で放映された。
社外向けに制作した動画は、協力会社サポートのもと、従業員が企画立案から撮影・編集まで携わった。
なお記念品はアート事業との親和性を考慮し、ゴッホ、ピカソ、ヘミングウェイなど多くの芸術家が愛したモレスキンのノートをオリジナル作成。贈答用、従業員用2種類をデザインしたとのこと。
■JR博多シティのケース
当初は大型イベントやタレントを起用した企画も考えていたが、コロナ禍で従来の来客が見込まれない状況から、打ち上げ花火的なものではなく、改めて足元客に目を向け、感謝を伝え、“より地元に愛される”施設に方針転換。
そして10周年では、テナント従業員、一般のお客様を主役に据え、テーマは「あなたに、よりいっそう、よりそう。AMU LOVE YOU」に。
10周年のビジュアルイメージは、一般のお客様、テナントの従業員100組をモデルとして起用。施設内サイネージなどのプロモーションに使用した。
また、FM福岡開局50周年とも連動し、13時間の生中継「JR博多シティ10th Anniversary FM福岡ワンデイスペシャル」を放送。
■コープこうべのコロナ対応とSDGsの取り組み
「ターゲット2030」策定のために、2019年から各地域で「10年先の未来がどうなってほしいか。どんなまちで暮らしたいか、その為にコープこうべにどんな役割を期待しているか」をテーマのワークショップで、総計約9000人の声を集めた。
キーワードから浮かび上がったテーマが、
(1)人と人とがやさしさでつながり、助けあえる
(2)健康でいきいきとした毎日を送れる
(3)自然環境と共に生きる
(4)みんなが笑顔で安心できる
コロナ感染拡大下の作業だったが、基本線が変わることはなかったという。
そしてさらに特筆すべきは、2021年8月に掲載された「コープこうべ」の回にSDGsが初めて登場したことです。
今日では、環境問題を語るうえで避けて通れない世界共通のテーマですが、これまでの周年企業の施策の中には一度も登場しませんでした。
コープこうべは、周年のロゴマークにSDGsの17色をイメージしたカラーを採用したことに始まり、地域社会で行われているSDGs活動を写真で募集する「私のSDGsアクションコンテスト」などを実施し想像を超える応募があったとのこと。
■SDGsの崇高な理念を、㈱研恒社は自社開発のSlideNoteに込めました
『すべてはノートからはじまる』(倉下忠憲著/星海社刊)にこのような記述があります。
コラム 梅棹のカード法
情報の組み換えや並び替えに関しては、梅棹忠夫さんの『知的生産の技術』が参考になります。
(中略)ポイントは、そこで提示されている「カード法」というノウハウとそれを支える考え方。
綴じノートではなく1枚1枚がバラバラになっている情報カードに着想していく手法は、情報の「原子化」を志向しており、さまざまな組み合わせを誘発してくれます。
上記青字部分を実現する文具としてSlideNoteを考案しました。
梅棹さんが『知的生産の技術』で指摘したルーズリーフやバインダーの問題点を解消し、どんな用紙でも穴を開けずに綴じられ、瞬時に並べ替えが可能な機能を備えました。
広告の裏紙も、失敗したコピーも、ノートの残紙もすべてムダにしないSDGs志向の文具です。
※SlideNoteの詳細についてはこちらより紹介しております