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ニュー・ポリシー
2024.08.07
新政策資料集大成『月刊ニュー・ポリシー』7月号

今号の資料数と注目資料

資料数
30資料(内閣6、内閣府11、総務省4、公正取引委員会1、文部科学省1、農林水産省2、経済産業省3、国土交通省1、日本銀行1)[当誌掲載順]

注目資料
★ 内閣 *経済安全保障上の重要技術に関する技術流出防止策についての提言 ~国が支援を行う研究開発プログラムにおける対応~ -経済安全保障法制に関する有識者会議-
★ 内閣府 *規制改革推進に関する答申 ~利用者起点の社会変革~ -規制改革推進会議-
★ 農林水産省 農林水産研究イノベーション戦略2024
★ 経済産業省 *2024年版不公正貿易報告書(概要版)及び不公正貿易報告書を受けた経済産業省の取組方針(概要版と本文)
★ 国土交通省 地域の公共交通リ・デザイン実現会議 とりまとめ

さらに詳しい内容をお知りになりたい方には「期間限定閲覧用ID&パスワード」を発行いたします。こちらよりお問い合わせください。 なお月刊ニュー・ポリシーのサイトでは、過去の掲載資料をデータベースとして蓄えており、年月やキーワードで検索することが可能です。

*編集部注:
規制改革推進に関する答申 ~利用者起点の社会変革~ -規制改革推進会議-
規制改革推進会議は、経済社会の構造改革を進める上で必要な規制の在り方について、総合的に調査審議する内閣総理大臣の諮問機関であり、常設の機関として令和元年10月24日に設置されました。
本答申の前には、令和2年7月2日、令和3年6月1日、令和4年5月27日及び令和5年6月1日に、それぞれ審議結果の答申(中間答申)を行っています。
令和5年10月16日に第17回規制改革推進会議を開催し、議長の選出、5つの重点分野に対応したワーキング・グループ(①公共、②スタートアップ・投資、③働き方・人への投資、④健康・医療・介護、⑤地域産業活性化)を開催し、本格的に活動を開始しました。
そして、令和5年12月26日の第18回会議で10月から約3か月間の審議結果を「規制改革推進に関する中間答申」として取りまとめたものを経て、今回の答申が発表されました。
会議が約8か月をかけて取り組んできた規制改革項目について、審議結果を取りまとめたものになります。

本答申の中では、『本答申の実現に向けて』と題し、
『本答申を内閣総理大臣に提出した後は、「実行」のステージである。取り上げた規制改革事項全てについて直ちに改革に着手し、期限を切って着実に実現するためには、改革実現までの工程表、すなわち「規制改革実施計画」を策定し、閣議決定することが必要である。
また、規制改革の推進に当たって、政府では、それぞれ趣旨や目的の異なる行政組織や制度を適切な役割分担の下に互いに連携させながら取り組んでいるが、国民や事業者の目線に立ったとき、情報が分散化し、制度の選択が困難になっている側面も否定できず、また、個別に取組が部分最適に陥り、結果として全体最適が達成されないおそれもある。
このため、政府全体として規制改革を強力に推進するための体制について検討することが必要であり、「規制改革実施計画」の策定に当たっては、規制改革関連制度間の連携を進めるため、本答申に掲げる項目のほか、関係する規制改革事項も包括的に取り込んだ計画の策定が求められる。
規制の多くは利害対立の構造を内包しており、これが改革が遅れる主な要因となっている。改革を進めるためには、様々な立場にある関係者と議論・調整し、その構造を突破していくことが求められる。本答申の内容が最大限実現されるよう、政治のリーダーシップに強く期待するものである。』
としています。また、『次のステップへ』として、
『規制改革については、これまで何度となく、答申や閣議決定が行われてきた。しかし、当初意図された改革が違った形で進むケースがしばしばみられる。
決定事項が「骨抜き」にならないよう、規制所管府省の検討等において、会議の意見が適切に踏まえられているか、改革が逆行していないか等、会議として、しっかりとフォローアップしていかなければならない。また、改革の実効性の担保や、フォローアップの効率化のため、例えば、改革の効果測定やKPI等による見える化を進めていくといった方策にも取り組んでいく必要がある。さらに、幅広い要望を掘り起こしつつ、規制改革の活動への理解を深めていただくため、規制改革・行政改革ホットラインの周知に努めるとともに、当事者の方々との直接の対話や規制改革事項の説明の機会を設けていくことが望まれる。』
とし、意図したとおりの実現に向けてのフォローアップの重要性について、述べられています。

実施事項を、以下に挙げます。

1.革新的サービスの社会実装・国内投資の拡大
(1)移動

  1. タクシーの規制緩和等(二種免許要件、地理試験廃止等)
  2. 道路運送法第78条第2号による自家用有償旅客運送について
  3. 自家用車活用事業の施策効果の測定
  4. 自家用車活用事業等のモニタリング・検証・評価、タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業に係る法制度を含めた事業の在り方の議論
  5. タクシー仲介の適正化、白タク対策の強化
  6. 運行管理制度のデジタル化・遠隔化の推進、柔軟な働き方の実現を通じたドライバー確保
  7. 自動運転レベル4の事業化加速のための道路交通法及び道路運送車両法に基づく走行に係る審査に必要な手続の透明性・公平性の確保
  8. 自動車の安全運転管理者、運転者等の事務負担軽減
  9. 自動運航船の制度整備*

 
(2)物流

  1. 無人航空機(ドローン)の事業化に向けた環境整備
  2. 買い物困難地域等におけるドローン配送サービスの実装に向けた関連規制の合理化等*
  3. 物流車両情報の即時把握等を可能とする運行記録規制の見直し
  4. 業務の性質上、短時間の駐車が不可避である業務用車両に係る駐車規制の在り方

 
(3)観光

  1. 旅館業法の簡易宿所営業における玄関帳場等の規制

 
(4)公共

  1. 地方公共団体の調達関連手続のデジタル化
  2. 地方公共団体の窓口業務の官民連携による集約化及び効率化
  3. 倒産手続のデジタル化
  4. 死亡・相続手続のデジタル化
  5. 地方公共団体に対する申請等に関するローカルルールの縮減
  6. 地方公共団体への公金納付のデジタル化
  7. 国立大学の入学金等のデジタル化
  8. 賃金の「デジタル払い」の実現
  9. 社会保険・雇用保険手続のデジタル完結
  10. 水素の利活用の円滑化に向けた「定置式製造設備」に関する規制見直し
  11. 廃棄物の排出場所以外の施設での機械分別等の規定の明確化
  12. 所有者不明土地に関する取扱いの明確化
  13. 条例公布時の長の署名における電子署名による方法の追加*

 
(5)教育
(i) 社会の変化に応じた質の高い教育の実現

  1. 遠隔教育の活用促進
  2. 教育政策に関するEBPMの推進

 
(ii) 人口減少時代における高等学校就学者保護の仕組みの構築

  1. 人口減少時代における高等学校就学者保護の仕組みの構築

 
(6)健康・医療・介護
(i) デジタルヘルスの推進

  1. 身近な場所でのオンライン診療の更なる活用・普及
  2. プログラム医療機器(SaMD)の開発・市場投入の促進
  3. デジタル、AI等を活用した要介護認定の迅速化及び科学的合理性の確保等
  4. デジタル技術を活用した新たな医薬品販売業の実現
  5. 販売機の活用による一般用医薬品の遠隔販売

 
(ii) 医療職・介護職間のタスク・シフト/シェア等

  1. 介護現場におけるタスク・シフト/シェアの更なる推進
  2. 在宅医療における円滑な薬物治療の提供
  3. 高齢者施設における人員配置基準の特例的な柔軟化
  4. 介護サービスの人員配置基準に係るローカルルールの整理・公表
  5. 地域内の複数種類の介護サービスに関する一体的マネジメントの実現

 
(iii) 医療・介護等分野における基盤整備・強化

  1. 被験者保護及び研究力強化等のための倫理審査の適正化
  2. 診療報酬上の書面要件の廃止・デジタル化
  3. 在宅医療を提供する環境の整備
  4. 患者本位のプライマリ・ケアの体制整備
  5. スイッチOTC化の加速
  6. 介護・保育・障害福祉分野における合併、事業譲渡等に関するローカルルールの防止等
  7. 医療保険情報取得API利用時の包括同意の容認
  8. 先端技術を用いた医薬品開発ツールの要件の明確化
  9. 低リスク遺伝子治療用製品の開発における治験開始前の環境影響評価
  10. 新医薬品の毒薬及び劇薬の指定基準の明確化
  11. 再生医療製品及び医薬品の製造に用いる生物由来原料等の管理等の合理化

 
(7)農業・地域産業活性化

  1. 農業法人の経営基盤強化
  2. 農業用施設の建設に係る農地転用許可の迅速化
  3. 愛玩動物に係るオンライン診療の受診の円滑化
  4. 家庭用蓄電池の補助制度における補助対象の見直し
  5. 定置用蓄電池の系統連系に必要な技術要素の明確化
  6. JET認証における軽微な部品変更等の取り扱いの見直し
  7. 系統連系手続の標準処理期間の検証
  8. 系統連系における工事費負担金及び接続検討調査料の検証
  9. 円滑な系統連系の仕組みの導入
  10. JET認証における系統連系技術要件との整合性の確保
  11. JET認証における受け入れ規格の拡大及び他の認証機関による試験結果の受入れ
  12. JET認証の認証手続における標準的な費用及び処理期間の公表
  13.  系統連系手続における定置用蓄電池の個別機器の試験データ提出の必要性の検証
  14. JET認証における定置用蓄電池の全数検査の必要性の検証

 
(8)通信

  1. 5G普及に向けた規制・制度の見直し
  2.  光ファイバー整備の円滑化のための収容空間等の整備状況の開示等
  3. 届出電気通信事業者が行う報告義務の在り方の見直し

 
(9)金融・資産運用特区における取組

  1. 圧縮水素の貯蔵量上限の緩和
  2. 銀行によるGX関連事業の推進に係る「一定の銀行業高度化等会社」の枠組みの活用
  3. 行政手続の英語対応
  4. 公立大学法人によるスタートアップ投資環境の整備
  5. 洋上風力発電設備の設置・保守に係る外国籍船の利用及び外国人材の活用

 
 

2.スタートアップの更なる成長
(1)規制改革関連制度の連携強化

  1. 規制改革関連制度に関する情報発信強化
  2. 規制改革関連諸制度間の連携
  3. グレーゾーン解消制度等 の透明性向上

 
(2)起業家の負担軽減に向けた定款認証の見直し

  1. 起業家の負担軽減に向けた定款認証・法人設立手続の見直し
  2. マネロン対策のための法人の実質的支配者情報の把握
  3. 公証人公募時における開示情報の充実等による民間人材の登用促進及びガバナンスの強化

 
(3)海外活力の取り込み・内外人材活用
(i) 株式報酬の発行環境を改善する会社法制・金融商品取引法制の見直し

  1. 従業員等に対する株式報酬の無償交付を可能とする会社法の見直し
  2. 株式報酬の発行円滑化に向けた金融商品取引法制の見直し
  3. ストックオプションプールの実現に向けた産業競争力強化法の見直し

 
(ii) 海外起業人材の活躍に資する在留資格等の見直し

  1. 海外起業人材の活躍に資する在留資格等の見直し
  2. 半導体関連産業における外国人材の就労円滑化
  3. 技能実習制度における地域の多文化共生に向けた地方公共団体の取組
  4. 認定日本語教育機関の校地・校舎自己所有要件に係る検討*
  5. スタートアップへ投資する外国人投資家向け在留資格の創設

 
(4)スタートアップの資金調達
(i) 非上場株式の発行・流通の活性化

  1. 発行市場(公募)の活性化
  2. 発行市場(私募)の活性化
  3. 流通市場の活性化等
  4. PDCAサイクル

 
(ii) 無形資産を含む事業全体を担保とする制度(企業価値担保権)

  1. 無形資産を含む事業全体を担保とする制度(企業価値担保権)の創設・整備

 
(5)スタートアップの成長の加速

  1. スタートアップの新技術及び新サービス開発を促進する政府調達機会の確保
  2. 株式対価M&Aの活性化に向けた会社法の見直し
  3. 良質な雇用の確保、高生産性産業への労働移動

 
(1)良質な就労の確保

  1. フリーランス・ギグワーカーの労働者性及び保護の在り方
  2. 労使双方が納得する雇用終了の在り方
  3. 「自爆営業」の根絶

 
(2)高生産性産業への労働移動

  1. 副業・兼業の円滑化

 
[出典]本資料『規制改革推進に関する答申 ~利用者起点の社会変革~ -規制改革推進会議-』

〇編集部より
「昭和100年関連施策」というものをご存じでしょうか。これは、今年の7月5日に、内閣官房長官の記者会見で発表されました。内容は以下の通りです。
『「昭和100年」関連施策についてでございますが、再来年の令和8年に、昭和元年から起算して満100年を迎えます。「昭和100年」をきっかけとして、激動と復興の昭和の時代を顧み、将来に思いを致すことは、大変意義深いことです。そのため、内閣官房に「「昭和100年」関連施策推進室」を設置し、「昭和100年」の関連施策の基本的な考え方等について、検討を進めることといたします。』
ここで述べられている、「昭和100年関連施策推進室」ですが、内閣官房のサイトの「各種本部・会議等の活動情報」の中には出てきていませんので、まだ、具体的な活動は始まっていないと思われます。ただし、内閣官房機構図(令和6年8月1日現在)には、その名前が出ています。内閣官房副長官補(内政・外政)に属する形です。
この内閣官房副長官補ですが、『内閣官房に3人置かれ、内閣の重要政策等に関する企画立案・総合調整を担って』おり、『国内外の様々な内閣の重要政策等に関する企画・立案、関係省庁との総合調整等に取り組み』、『具体的には、内閣総理大臣等からの指示を踏まえ、内閣が推進する重要政策に関する企画・立案を行ったり、関係省庁が複数に跨るような政策課題の調整を行ったりしている』という役割を果たしています。
これから令和8年に向けてどのような関連施策が生み出されてくるのでしょうか。また、『激動と復興の昭和の時代を顧み、将来に思いを致すこと』とありますが、実際将来にどんな思いをもち、それがどのように政策に反映されてくるのでしょうか。これからの動きに要注目です。

[参考]令和6年7月5日(金)午前 内閣官房長官記者会見『「昭和100年」関連施策について
内閣官房HP『内閣官房副長官補